お笑い芸人キングコングの西野亮廣さんが、近畿大学の卒業式で語ったスピーチの内容が話題になっている。
トータル16分程度の動画で、特に大きな反響を呼んでいるのは「時計」のくだり。
こちらに対して賛否両論巻き起こっており、「感動した」と言う人がいる一方、「麻原彰晃の二の舞になるな」という過激な意見も飛び出している。
今回は「キンコン西野亮廣の近畿大学卒業式「時計」スピーチへの違和感とその正体」と題し、話題になっているスピーチの内容と、それに対する解説をまとめていこうと思う。
話題のキンコン西野伝説の「時計」スピーチとは?
まずは、話題になっているというお笑いコンビキングコングの西野亮廣さんの実際のスピーチを。
そして、話題になっている時計の部分のスピーチ内容をおおまかにお伝えすると、
・時計の長針と短針は1時間に1回必ず重なる
・でも11時台だけは重ならない
・人生にも11時台は存在する
・それでも時計は必ず重なるので、あきらめず挑戦してほしい
というもの。
キンコン西野亮廣のスピーチに対するYouTubeの賛否両論、感想
そしてこれに対して賛否両論あり、様々な意見が飛び交っているというわけである。
YouTubeのコメントから、いくつか感想を抜粋してみた。
こんなステキなスピーチを無料で公開してくれた近畿大学さんありがとう!
西野さん僕あまりにも11時が長すぎます…
何を言っとるんやこいつ。
内容はともかく話のテンポなんかは物凄く上手いよね
冷静に針と人生って違うくね
この人新興宗教とかの教祖になったらアホみたいに儲けそう
最後の話だけをいきなりしても心には響かないんだよな。 最初の軽いノリから入ってちょっとずつ会場の空気を操作して自分のフィールドにしていく。そして聞き手が自分の話を聞いてくれるようになるタイミングですっと1番伝えたかったことを簡潔にわかりやすく話す。 このような話術を使えるようになりたい
味を占めて麻原彰晃の二の舞にはなるなよ。
さすが。良いことを言うだけじゃない。プロの仕事。
全体の3/4は笑い話で最後の4分で全てを回収していくとか、惚れてしまう。 ノープランとか言ってたけど、全て台本通りだと言ってほしい。じゃないと俺の精神が持たない。
よーいキリギリスとか言うてた人とは思えない言葉の重み
「キンコン西野 伝説のスピーチ「人生に失敗など存在しない」平成30年度近畿大学卒業式」コメント欄より引用
キンコン西野のスピーチに感動する人はマルチ商法に騙される?
様々な意見がある中、個人的には下記の記事が気になった。
参考記事:話題のキンコン西野氏による近大卒業式「時計」スピーチが孕む危うさ。問われる近大の良識
キングコング西野さんのスピーチを批判する理由について、非常に丁寧に書かれている。
YouTubeのコメント欄でもいくつか見られたが、スピーチの内容が新興宗教の教祖のようだし、マルチ商法に使われる手口と一緒だとのこと。
忘れかけそうになるが、キングコング西野さんと言えば、M-1決勝の出場経験もあるお笑い芸人。
当然しゃべりは格段にうまい。
その話術を使って、何となく「良い話」に仕立て上げているという意見である。
実際私自身、時計の針の話に「へえ、言われると確かに」とは思ったが、それがどう挑戦に繋がるのかわからなかった。
そういう意味ではそこまで批判的に考えてはいないが、紹介した記事に近い感想は持っている。
客観的な正しさを持った「たとえ話」とは、たとえばどんな話?
とはいえご紹介した記事の中で気になった一文がある。
客観的な正しさを持たない「たとえ話」に説得力を持たせる演出でつけ込もうとする人々がいる。
話題のキンコン西野氏による近大卒業式「時計」スピーチが孕む危うさ。問われる近大の良識より引用
これに対し、逆に客観的な正しさを持った「たとえ話」とは、例えばどんなものなんだろう?という疑問が頭を占拠した。
この記事ではマルチ商法や詐欺の危険性を訴えることがメインのように映り、最初から否定的なスタンスを持っているように感じる。
たとえ話といえば、スペイン代表とバルセロナで輝かしい実績を持つサッカー選手のイニエスタが、Jリーグヴィッセル神戸に移籍することが決まった時、他のことで例えるのが話題になり、当サイトでもご紹介した。
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イニエスタの記事の中では、イニエスタがJリーグに来ることについて、
・NHKのど自慢にレディー・ガガが出場
・大学のゼミに紫式部が来る
・テラスハウス軽井沢編にトム・クルーズが入居
などのたとえを紹介している。
これらのたとえは個人的に面白いと思うし、わかりやすいと思うが、「客観的な正しさを持ったたとえ」なのか問われると、わからない。
「時計」のたとえに対する違和感の正体
時計のたとえはしっくりこないものの、「客観的な正しさを持ったたとえ」にも疑問があった。
しかし、様々な意見を読む中で、自分の中でようやく腑に落ちたことがある。
それは、「時計が12時になるのは、別に素晴らしいことではない」ということ。
12時になることを「鐘が鳴る」としてゴールのように話しているが、時計が目指しているのは別に12時ではないんじゃないだろうか。
12時になってもゴールではなく、そこからまた同じように時間を刻んでいく。
しかも0時ならまだゴールと言えなくもないが、時計にはその過程で邪魔が入ったり、障害が生まれることは基本的には無い。
人生における挑戦であれば、その先には目指すもの、ゴールがあるはず。
当然その過程では辛いことや悲しいこと、逆に嬉しいこともあるだろう。
それを考えると、時計で人生をたとえるのは「客観的な正しさを持ったたとえ」ではないと思う。
まとめ
いかがだっただろうか。
キンコン西野さんのスピーチについて、下記のことをまとめてきた。
・話題のキンコン西野伝説の「時計」スピーチとは?
・キンコン西野亮廣のスピーチに対するYouTubeの賛否両論、感想
・キンコン西野のスピーチに感動する人はマルチ商法に騙される?
・客観的な正しさを持った「たとえ話」とは、たとえばどんな話?
・「時計」のたとえに対する違和感の正体
非常に難しくはあるが、話がうまい人は総じてたとえがうまい。
このスキルは私もキミも磨いていくべきだと思う。
そしてたとえの引き出しが広がれば、話がうまくなるのはもちろん、怪しい話にも騙されなくなるだろう。