2020年4月1日から東京都で義務化になり、もはや考えざるを得なくなった自転車保険。
都道府県によっては一部自治体の場合もあるが、義務化の流れは日本全国に波及している。
義務化というくらいだから、
「対象は住む人全員?」
「補償内容は?」
「補償の範囲は?」
「保険料は?」
などなど、気になることは多いだろうと思う。
今回は「自転車保険の加入義務化でも罰則はなし。ただ、価格は安いし加入すべき」と題し、自転車保険の義務化や、オススメの自転車保険などについてまとめていこうと思う。
義務化される自転車保険に入らなかった場合の罰則は?
「義務化されるなら、破ったら罰則とか罰金があるのか?」というのはキミだけでなく誰もが気になるだろうが、現時点で特に罰則はない。
個人的には「どうやって加入しているかどうかを確認するんだろう」と思ったし、実際その辺りの判別は難しいように思う。
まあ、今後は保険加入を知らせるステッカーなども義務付けられるかもしれないが。
だからといって、当然ながら入らなくていいわけではない。
罰則は無いが条例違反にはなるので、もしキミが自転車で通勤や通学をしている場合、それを認められなくなる可能性もある。
それ以前に保険とは万一のためのもの。
日常的に自転車を使っているなら、面倒くさがらずに入っておくことをオススメする。
シェアサイクルに乗るだけでも自転車保険は必要?
これは、私がシェアサイクルをよく使うので単純に気になっていた。
結論から言えば、シェアサイクルはそれ自体が自転車保険に契約している。
シェアサイクルの利用料にはその金額も含まれているので、個別に入る必要は特にない。
おそらく一番有名なドコモのシェアサイクルの補償内容は下記の通り。
※港区自転車シェアリングのHPより引用
自転車保険が義務化するきっかけは?
自転車保険の義務化が大きく進むきっかけとなったのは、2015年10月1日に兵庫県が義務化を決定したことである。
そこから徐々に全国の自治体で義務化の流れができ始め、2020年4月現在ではほとんどの都道府県で義務化、もしくは努力義務になった。
しかし、そもそもどうして義務化の話が広く表に出始めたのかというと、2008年に兵庫県神戸市で発生した自転車事故が大きく関係している。
それは当時小学5年生の男児が自転車で坂道を下っていたところ、歩行中の62歳の女性と衝突。
女性は意識不明の重体となってしまった。
2013年この事故の判決により、男児の保護者にはなんと賠償金額9,520万円の判決が言い渡された。
たかが自転車、されど自転車。
お互いにとって非常に辛い結果となってしまったこの事故を、それが発生した兵庫県側も重く受け止め、2015年10月1日に自動車保険義務化の条例が制定されるにいたった。
自転車事故による高額賠償の事例
すでにわかってもらえたはずだが、「自転車の事故でそんな大変な事態になるの?」ともしキミが思っているなら、失礼ながらちょっと楽観的すぎるかもしれない。
全国で義務化が進んでいる背景は、兵庫県だけではなく全国で痛ましい事件が発生しているからである。
いくつか事例をご紹介したい。
■賠償金額:3,138万円(さいたま地裁 平成14年2月)
■事故の概要:男子高校生が朝、自転車で歩道から交差点に無理に進入し、女性の保険勧誘員(60 歳)が運転する自転車と衝突し、保険勧誘員は頭蓋骨骨折を負い9日後に死亡した。■賠償金額:5,000万円(横浜地裁 平成17年11月)
■事故の概要:女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、前方を歩行中の看護師(57 歳)の女性と衝突し、看護師には重大な障害(手足がしびれて歩行が困難)が残った。■賠償金額:5,438万円(東京地裁 平成19年4月)
■事故の概要:成人男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55 歳)と 衝突し、女性は頭蓋内損傷等で 11 日後に死亡した。■賠償金額:9,266万円(東京地裁 平成20年6月)
■事故の概要:自転車運転中の男子高校生が車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳会社員男性と衝突し、会社員は言語機能の喪失等重大な障害が残った。※https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk15/documents/kougakubaisyo.pdfより引用
どれを見てもやりきれない。。。
特に24歳会社員の事件は悲しすぎる。
というか神戸の判決の5年前にこんな事故があったのに、東京の義務化までにはかなり時間があったんだと思ってしまう。
そんな東京も、2020年4月1日に自転車保険が義務化される。
自転車保険加入の義務化の対象地域は?自治体によって変わる?
「義務」「努力義務」「どちらにもあたらない」自治体
義務化という響きは重いため、日本全国誰でもが加入しないといけないと思うかもしれないが、当然ながらそんなことはない。
ここまで記事を書いていたら、皆に入ってほしいと思ってしまうが。。。
ただ2020年4月時点では、「義務」「努力義務」「どちらにもあたらない」という3つの区分が存在している。
記事作成時では下記のものが一番見やすかったので、こちらを引用させていただいた。
基本的に、加入を「義務」とする自治体と2020年4月1日より加入が「義務」となる自治体に入っている都道府県は、市区町村に関係無く義務化される。
それ以外の都道府県でも一部自治体で義務になっていたり、義務化が予定されている自治体をまとめておく。
上記以外で自転車保険加入が義務化、または義務化予定の自治体
愛知県:名古屋市、豊橋市、長久手市
茨城県:笠間市
山形県
上記以外で自転車保険加入が努力義務の自治体
岩手県:盛岡市
栃木県:栃木市
愛知県:豊川市、知多市、羽島市
広島県:三次市
島根県:松江市
長崎県:大村市
一応ここにない都道府県や市区町村は、現時点で「義務」「努力義務」のどちらにもあたらない。
自転車保険に加入すべき人や自転車保険の種類についてのまとめ
誰であっても自転車保険は義務なのか?
結論から言えば、義務化されている地域でも自転車を持っていないなら特に入る必要はない。
自動車保険と同じようなイメージを持ってもらえればと思う。
自動車を所有すれば少なくとも自賠責保険への加入は義務、というか強制的に入ることになるが、持っていなければ特に義務は無い。
では自転車を所持していたり、定期的に使うのならやはり義務になるのだろうか?
その辺りを具体的に書いていきたい。
自転車保険に加入する方法
まず、自転車保険の加入については大きく2つの方法が存在する。
・単品の自転車保険に加入する
・自動車保険や火災保険に特約として付ける
とはいえ自動車保険や火災保険については、改めて特約として付けなくてもすでにそういう補償が付いている場合もあるので、契約内容を確認してみてほしい。
特に自動車保険や火災保険の場合、すでにある程度の補償の特約が付いている契約も少なくはないようだ。
仮に自分で契約はしていなくても、キミが家族と暮らしていたら実家の火災保険や自動車保険で補償の対象になっている場合もある。
別居していたとしても、別居の子どもまでカバーする保険もあるので、家族も含めて確認してみることをオススメする。
自転車傷害補償(傷害保険)と個人賠償責任補償
そして、自転車保険と一口に言っても、保険の内容は2種類存在する。
カンタンに言えば相手にケガをさせてしまった場合の保険と、自分がケガをしてしまった場合の保険であり、やはりこの2つのパターンに対応できる状態がベストである。
それを補償で言い換えるなら、下記の通りになる。
自転車傷害補償(傷害保険)・・・自分がケガをしてしまった場合の補償
個人賠償責任補償・・・相手にケガをさせてしまった場合の補償
単品の自転車保険であれば2種類付いているものがほとんどだが、自動車保険や火災保険の場合、個人賠償責任補償の特約しか付いていないケースも多いそうだ。
ただ、個人賠償責任補償については重複契約しても保険金の額は変わらないので、ムダになってしまう可能性が高い。
そして自転車傷害補償(傷害保険)については、生命保険でカバーできるケースも多い。
とはいえ傷害保険は重複してもそれぞれ請求できるので、仮に生命保険や自動車保険の特約でカバーできる範囲であっても、重複契約がまったくの損にはならない。
だが、個人賠償責任補償の特約が付いた自動車保険や火災保険に加入していて、生命保険で自分のケガの補償ができ、それが十分な補償だと思うなら、必ずしも改めて自転車保険に加入する必要は無い。
ただキミにどちらの補償も無ければ、やはり自転車保険への加入は義務になる。
自転車保険はどうやって加入すれば良いのか?
自転車保険の契約期間は?1ヶ月だけ、1日だけのプランは?
自動車保険や火災保険、生命保険にも入っていない。
もしくはその補償内容では物足りなく感じるのであれば、単品の自転車保険に加入することをオススメする。
私が調べたところ、基本的に自転車保険の契約期間は1年単位。
1日だけ、1ヶ月だけなどのプランは記事作成時点では存在しなかった。
サイトによっては、月払いの契約を1ヶ月で解約すれば実質1ヶ月だけの契約になるなんて紹介をしているところもあったが、日常的に乗るのならきちんと1年単位で入ることをオススメする。
どうしてもと言うのであれば、シェアサイクルがオススメである。
先ほど書いたとおり、シェアサイクルはシェアサイクル自体で自転車保険に契約をしているので、別途契約の必要は無い。
しかも1日丸々借りたり、1ヶ月間決まった時間までは定額で乗り放題のプランもあるので、結果的にお得感は高いんじゃないかと。
とはいえそれ以前の話、自転車保険はそこまで高いものではない。
補償の範囲や内容にもよるが、大体は年間で3,000円~5,000円程度なので月に直せば300円~500円程度である。
自転車にまったく乗らないならともかく、自転車を所持していて定期的に乗るのであれば、万一のことも考えてそのくらいの出費は覚悟したい。
自転車保険を提供するのは自治体やコンビニ、キャリアやイオンなどなど様々
自転車保険については、実に様々な会社が提供している。
・楽天
・LINE
・au
・ドコモ
・JCB
・イオン
※順不同
脈絡なくざっくばらんに羅列した。
それ以外にも自治体で保険を提供しているケースもある。
一番近くて一番便利?大手コンビニ自転車保険の料金比較
上に挙げてはいないが、一番身近で手軽な大手コンビニ3社で自転車保険を比較してみようと思う。
色々調べてみるとコンビニ各社で補償内容や補償範囲などによって料金が分かれており、単純に料金だけで比較するのは非常に難しい。
ただ目安のために、一番安い保険料のプランで表を作ってみた。
ちなみに期間はいずれも1年間。
そして、説明の必要も無いとは思うが、一応ファミマ=ファミリーマート、セブン=セブンイレブンである。
ローソン | ファミマ | セブン | |
保険料 | 2,890円 | 2.980円 | 3,990円 |
保険の範囲 | 本人のみ | 本人と家族 | 本人のみ |
相手への補償 | 無制限 | 3憶円 | 3憶円 |
自分への補償 | ■死亡・後遺障害:100万円 ■入院保険金:1,500円 |
■死亡・後遺障害:107万円 ■入院保険金:4,500円 |
■死亡・後遺障害:290万円 ■入院保険金:4,000円 |
自転車事故以外の補償 | 〇 | 〇 | × |
トータルで見ると、一番バランスが良いのはファミリーマートのように思える。
相手への補償に上限があることや、死亡・後遺障害の保険金をキミがどう感じるかだろう。
ただ、一番安いプランと書いたとおり、ローソンとセブンイレブンには他にも補償範囲や補償内容を手厚くしたプランは存在する。
ファミリーマートは、記事作成の2020年3月時点ではこのプランのみ。
キミがファミリーマートの保険では相手や自分への補償が物足りないと思うなら、他の自転車保険をチョイスするしかない。
色々見てきてオススメの自転車保険
長々と書いてきたが、個人的にはローソンの自転車保険をオススメする。
先ほどの表で保険の範囲は「本人のみ」と書いたが、相手への補償に関しては無制限なだけでなく家族も対象になる。
ローソンの保険では示談交渉サービス付きが明記されている。
ファミマにはそのように明記されておらず、セブンは明記されているものの保険料は1,000円近く違う。
事故の際には東京海上日動が代わりに交渉してくれるというのは心強い。
自分への補償は若干物足りない感があるものの、自転車事故以外のケガも補償してくれるのは大きい。
それでも物足りないと感じるなら、本人向けのもう少し手厚いプランや夫婦型、家族型などの契約もできるようになっている。
まとめ
いかがだっただろうか。
自転車保険について、下記のことをまとめてきた。
・義務化される自転車保険に入らなかった場合の罰則は?
・シェアサイクルに乗るだけでも自転車保険は必要?
・自転車保険が義務化するきっかけは?
・自転車事故による高額賠償の事例
・自転車保険加入の義務化の対象地域は?自治体によって変わる?
「義務」「努力義務」「どちらにもあたらない」自治体
上記以外で自転車保険加入が義務化、または義務化予定の自治体
上記以外で自転車保険加入が努力義務の自治体
・自転車保険に加入すべき人や自転車保険の種類についてのまとめ
誰であっても自転車保険は義務なのか?
自転車保険に加入する方法
自転車傷害補償(傷害保険)と個人賠償責任補償
・自転車保険はどうやって加入すれば良いのか?
自転車保険の契約期間は?1ヶ月だけ、1日だけのプランは?
自転車保険を提供するのは自治体やコンビニ、キャリアやイオンなどなど様々
一番近くて一番便利?大手コンビニ自転車保険の料金比較
・色々見てきてオススメの自転車保険
義務化だからと言って、必ずしも全員が入らなくても良いのが少しややこしいが、自転車に乗る機会があるなら入っておくことをオススメする。
面倒だと思うなら、シェアサイクルを活用するのが便利だと思う。
というか、私はそうする。
ただ、そもそも自転車に乗らないのなら義務ではないのでその点は安心してほしい。