ジェンダー、ジェンダーレスとは
近年、ジェンダーという言葉を聞く機会が増えた印象である。
ジェンダーとは、文化や習慣の面から作られる性別に対する認識のことで、主によくない意味で使われる。
男はたくましくなければいけない、女は男を立てて家を守らないといけない、などの性別による決めつけは代表的なジェンダー。
また、結婚や妊娠により退職する可能性が高い女性に対して給料を少なくする、高い地位につかせないようにするなどの差別が行われることがあるが、これも非常に悪質なジェンダーと言えるだろう。
ジェンダー的な発言により社会的な信用を失う例は数え切れないくらい多く、これからの時代を生きる上で必ず向き合わなければいけない問題である。
このジェンダーをなくしていこうという動きがジェンダーレスで、性別による決めつけや差別を解消しようという動きは世界中で高まっている。
日本のジェンダーレスに対する取り組みは、現時点では決して芳しいものではなく、むしろ駄目な部類。
世界経済フォーラムは、世界各国の男女格差の程度を表すジェンダー・ギャップ指数を公表している。
経済と政治と教育と健康という4つの分野から各国の男女格差がはじき出されており、値が1に近ければ男女格差は少なく、0に近ければ不平等が横行していることになる。
基本的に先進国はジェンダーレスの動きが活発で、順位も軒並み高めなのだが、日本は先進国とは思えないほど順位が低く、2021年のジェンダー・ギャップ指数の順位は120位、値は0.656。
日本では性別による決めつけ、差別がまだまだ根強く残っていると、ジェンダー・ギャップ指数は指摘している。
国を挙げてのジェンダーレスの取り組みが求められている中、芸能界やファッションの世界などで注目を集めているのが、ジェンダーレス男子である。
ジェンダーレス男子の意味と代表的な芸能人
ジェンダーレス男子とは、男性っぽくも女性っぽくもない、中性的な姿を理想とし、それを体現している男性といった意味合い。
実際の性別と心の性別が一致していない性同一性障害に悩まされている人、実際に性転換手術を受けて女性として生きている人はLGBTのT、トランスジェンダーに当たる。
トランスジェンダーは女性らしい姿を目指すのが普通なので、男らしさや女らしさを排除し、中性的な姿を目指すジェンダーレス男子とはまた異なる存在である。
ただ、実際のところトランスジェンダーとジェンダーレス男子は名前が似ているため混同されやすく、誤解を招くケースも多い。
そもそも、LGBTは異性のみを好きになるヘテロセクシャル以外の性のあり方を指しており、ジェンダーレスとは全く別物。
実際、ジェンダーレス男子はLGBTには当てはまらず、女性をパートナーとする人が多いとされている。
一方、ジェンダーレス男子かつLGBTのGことゲイ、あるいはBことバイセクシャルに当てはまっている人も中にはいるはず。
このような言葉、定義のややこしさも理解が進まない理由の1つのような気がするが、ジェンダーレス男子は性のあり方とは無関係で、男らしさや女らしさを排除し、中性的な姿を目指す男性のことを指している。
芸能人だと、2015年からテレビなどで活躍している元「りゅうちぇる」さん、現「ryuchell」さんや、Matt化と呼ばれる独自色の強いメイクで知られる「Matt」さんが代表的な存在だ。
ジェンダーレス男子の定番ファッション、髪型
見た目、ファッションの方向性は、同じジェンダーレス男子でもそれぞれ違うが、ジェンダーレス男子に憧れがあるのなら、定番のアイテムを取り入れるのがよいと思う。
腕の付け根や肩辺りに位置する袖ぐりと比較して、出口である袖口の方が細く作られている袖のことをドルマンスリーブと呼ぶ。
ドルマンスリーブのトップスは女性向けの定番アイテムだが、ジェンダーレス男子にとっての定番アイテムでもある。
ドルマンスリーブと相性のよいのが幅が広いワイドパンツで、上下ともにゆったりしているため統一感が出る。
いわゆる、スーツでビシッと決める姿とは対極に位置しているファッションだが、男性らしさを排除すると、自然とドルマンスリーブをベースにしたゆったり目なファッションに落ち着くことが多い。
アクセサリーへのこだわりもジェンダーレス男子のポイントで、特に首元は重要な場所だ。性別関係なく似合う細身のネックレスが使われやすいが、あえてパールネックレスのような目立つものを選ぶ人もいる。
ゴツゴツとしたネックレスのように男性的なイメージが強く、ジェンダーレス男子には向かないアイテムもあるが、それでも十分に選択肢は豊富なので、ぜひ胸元のワンポイントを意識して欲しい。
髪型もジェンダーレス男子にとっての重要なポイントで、最近のトレンドはマッシュショート。
マッシュルームのように丸みを帯びているマッシュショートは、芸能界でも男女問わず流行しているように、性別に関係なく似合いやすいことから、ジェンダーレス男子の間でもよく用いられている。
横に流すショートボブスタイルなど、マッシュショートには多くのバリエーションがあり、顔や頭の形にあわせた調節がしやすい点も見逃せない。