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サントリー生ビールの中味開発担当者に直撃インタビュー

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サントリー生ビールの中味開発担当者に直撃インタビュー

2023年4月4日に発売されたサントリー生ビール。

発売から3か月で200万ケースを超える販売数量となり、当初300万ケースだった販売計画は400万ケースに上方修正されるほどの人気。

プロモーションやパッケージのインパクトなど様々な要素があるとは思うが、とりあえずビールは味が伴っていないと人気商品にはならないはず。

 

今回は「サントリー生ビールの中味開発担当者に直撃インタビュー」と題し、そんなサントリー生ビールの魅力について、開発担当者に直接インタビューした。

目指したのは飲みはじめから飲み終わりまで美味しい生ビール

お話を伺ったのはサントリー(株)ビールカンパニ―商品開発研究部 水口 伊玖磨(いくま)さん。

水口 伊玖磨(いくま)さん

2008年からサントリー一筋で、これまでサントリー生ビールの他に、ザ・プレミアム・モルツやザ・モルツなどの開発にも関わっている。

そんな水口さんにサントリー生ビールの気になるところを直接伺ってみた。

 

ー商品の特徴や中味開発者として注目してほしいと思うポイントは?

水口さん:飲みはじめから飲み終わりまで美味しい生ビールを目指して開発を進めてきました。飲みはじめは冷たく炭酸もしっかりある状態です。一方で飲み終わりは温度が上がったり炭酸が弱くなったりしてバランスが崩れうる状態です。

サントリー生ビールでは飲み終わりの段階でも、飲みはじめの美味しさのバランスを極力崩さないような工夫をしていますので、その点に注目していただけると嬉しいです。

 

ー飲みはじめの美味しさは実現できていてもその継続が難しかったのでしょうか?

水口さん:ビールはひと口目の美味しさ、飲みごたえが大きな特徴だと思いますが、飲み終わりにはその特徴が弱くなってしまいます。かと言って、ひと口目の味わいや飲みごたえを強調しすぎると飲みにくくなってしまうというジレンマがあります。そのためひと口目の美味しさを実現しながらも、それをどう継続させるかというのは1つの壁になりました。

 

ー製造過程で苦労したことや障壁となったことはありますか?

水口さん:日常的に飲んでいただきたい定番ビールを目指しているので、飲みはじめにグッとくるひと口目の美味しさと、飲み終わりまで心地良く続く爽快感や飲みやすさをうまく両立することが一番苦労した点です。

それを実現するために素材からビールの醸造条件まで試行錯誤を繰り返しました。もちろん製品によるものの開発期間は1年~2年程度で試作は数十回程度というものが多いなか、サントリー生ビールは約5年もの開発期間で300回以上の試作を重ねることにより、ようやく目指すべき味わいにたどりつくことができました。

サントリーの生ビールとしては初めてとなる原料コーングリッツ

ー麦とホップ以外の原料を使っている理由は?

水口さん:パリッとした軽快な香ばしさを特徴として引き出すために、サントリーの生ビールとしては初めてとなるコーングリッツという原料を使い、トリプルデコクション製法を採用しております。 ※糖化工程において仕込釜で麦汁を煮出す「デコクション」を3回実施する製法

 

ーコーングリッツ以外の原料も試されたんでしょうか?

水口さん:ビールの副原料として使用可能なものは一通り試しましたし、麦芽に関しても色々な組み合わせを試しました。その結果としてコーングリッツを採用しています。

 

ープレモルと同様のダブルデコクションではサントリー生ビールの魅力が引き出せなかったのでしょうか?

水口さん:ダイヤモンド麦芽、コーングリッツの魅力を引き出すにために色々と検討していく中で、ぐっとくる飲みごたえと飲みやすさを両立するためにはトリプルデコクション製法が必須であるという結論にいたりました。

「デコクションを増やすことで美味しくなるのか」という質問をよくいただきますが、狙った味わいを出せるかどうかがポイントになりますので、サントリー生ビールのグッとくる飲み応えとかつてない飲みやすさに適した条件を実現するためにデコクションの回数を設計しています。

また、デコクション製法自体はビール醸造の教科書に載っている一般的な製法ですが、デコクションの回数だけではなく、素材の特長を引き出すために原料の状態、投入のタイミング、温度や時間といった細かな条件も設計が必要です

逆に合わない料理を探してしまうほどに何でも合うサントリー生ビール

ービールのプロ、水口さんがオススメするサントリー生ビールのペアリングは?

水口さん:毎日飲む定番ビールなのですごくつまらない答えになってしまいますが、何にでも合います(笑)。

しっかりした飲みごたえがありながらも味わいはさっぱりしていますので、ビールと共に楽しむ定番とも言えるから揚げや焼き鳥などガッツリ系の料理はもちろんですが、夏であれば冷しゃぶやナスの煮びたしなど、繊細な味わいの料理にも合いますね。

そのため今は逆に合わない料理を探していますが、まだ見つけられていません(笑)。

 

ー合わない料理が見つかったらぜひお伺いしたいです(笑)

水口さん:先日いちごのショートケーキを合わせたんですが、良い感じにクリームのこってり感をさっぱりさせてくれましたので、なかなか難しいですね(笑)。

エビやホタテの刺身などもビールによっては生臭さが目立ってしまうことがありますが、素材の味わいを邪魔することなく旨味を引き出してくれます。

 

ー何でも合うとのことですが、水口さん個人がオススメするペアリングは?

水口さん:焼きそばが好きなので、味が濃い目のソース焼きそばにマヨネーズをかけて食べるとビールがすごく進みます。

個人的に即試してみてしまった

あとは自分が好きなのもありますが、ゴーヤの苦味とビールの苦みが合うと思うのでゴーヤチャンプルーもオススメですね。

 

ーちなみにやはりグラスに注いだ方が美味しいんでしょうか?

水口さん:缶派とグラス派で分かれるとは思いますが、どちらで飲んでも美味しく召し上がっていただけます。

私は1缶がすぐに空いてしまいますが、お客様によっては最初のひと口は缶で飲んだ後グラスに、または1缶飲んだ後2缶目はグラスでという方もいらっしゃるようです。

まとめ

いかがだっただろうか。
サントリー生ビールの中味開発担当者に根掘り葉掘りインタビューさせていただいた。

サントリーとして初めての試みも多くあり、飲みごたえと飲みやすさの両立の難しさも存分に伝わってきた。

 

キミが今度サントリー生ビールを飲む時のお供になるならこれ幸い。

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