1本22万円。
シングルでも数千~数万にはなるだろうか。
キミはそんなウイスキーを飲んだことがあるだろうか。
私は無かったが、特別にそんな機会をいただくことができた。
イーガンズがブランド設立170周年を記念して、170本限定で販売するシングルモルトウイスキー「GENESIS(ジェネシス)」。
今回は「1本22万円!イーガンズのシングルモルトウイスキーを飲んできた」と題し、アイリッシュウイスキーの老舗ブランドイーガンズの超プレミアウイスキーを飲んだ感想などをまとめていこうと思う。
日本の愛好家が支持するイーガンズのアイリッシュウイスキー
若者の酒離れやコロナ禍以降に苦戦する飲食業界の中にあって、国内のウイスキー市場は好調を維持している。
中でもアイリッシュウイスキーの成長は著しく、2022年上期(1月~6月)の輸入額は199%(輸入ケース数は前年同期間比156%)と市場が急拡大している。
その一翼を担うのは創業1852年、ブランド設立170周年を迎えたアイリッシュウイスキー「EGAN’S(イーガンズ)」。
メインに展開するのは一般的なアイリッシュウイスキーの約3~7倍の1本5,900円~9,900円という高級品でありながら、独自路線を極めることで差別化を図ることができており、日本のウイスキー愛好家からは熱い支持を得ているとのこと。
特に注目を集めたのは2022年2月から3月に、1本9,900円の新商品をMakuake(マクアケ)で販売したところ購入者が200人超え。
販売額は約560万円にものぼり、マクアケの輸入スピリッツ・ウイスキーのカテゴリーで歴代2位となる売り上げを記録した。
もちろん日本以外でも高い評価を得ており、世界最高峰の品評会をはじめ数々の賞を獲得しているイーガンズ。
そんなイーガンズがブランド設立170周年を記念して、20年熟成のシングルモルトウイスキー「イーガンズ ジェネシス」を日本限定で販売する。
170周年にちなんで販売本数は170本のみ、価格は何と税込22万円。
小売価格でコレなのでスーパープレミアムなウイスキーと言える。
とはいえそれだけの工夫は加えられており、20年熟成は同じ樽ではなくバーボン樽に18年、バニュルス産赤ワイン樽で2年かけて長期熟成されたシングルモルトウイスキーになっている。
この赤ワイン樽での熟成により、さらに深みと熟成感が加わっているとのこと。
複数の樽で熟成したウイスキーを混ぜるのはよく聞くが、個人的に同じウイスキーを途中で別の樽に変える長期熟成というのは初めて聞いた。
1本22万円のジェネシスを含めイーガンズのアイリッシュウイスキーを試飲した感想
今回は特別に1本22万円というスーパープレミアムなジェネシスを含め、イーガンズのアイリッシュウイスキーを計5種類試飲させていただく機会に恵まれた。
具体的には下記の5種類。
・ビンテージ・グレーン
・フォーティテュード
・エンデヴァー
・コンヴィクション
・ジェネシス
それぞれに感想をお伝えしていきたい。
ビンテージ・グレーンの特徴と飲んだ感想
まずはビンテージ・グレーン。
こちらはその名の通りグレーン、つまりはトウモロコシや小麦など穀類を主原料にしたウイスキー。
ウイスキー評論の世界的権威ジム・マーレイをして「これ程やわらかなアロマを持つウイスキーを私は知らない」と言わしめたらしい。
実際飲んでみると最初からインパクトが強く、穀類の影響なのかトーストのような香ばしい味わいがした。
そしてその味わいがゆるく、長く続いていく。
フォーティテュードの特徴と飲んだ感想
次はフォーティテュード。
こちらはかつてシェリー酒の輸入も手掛けていたイーガン家の歴史にオマージュを捧げ、極甘口シェリーのペドロ・ヒメネス樽を使っている。
この樽はアイリッシュウイスキーの熟成にはあまり使われることがないそうで、大胆な試みに挑んだウイスキーと言える。
飲んでみると極甘口のシェリー樽ということもあるのか、甘さが先にくる。
レーズンのような味わいや香りが口の中に広がり、他と比べてアルコールがおとなしいように感じた。
しかし基本的にジェネシス以外は46%でアルコール度数は統一されている。
とはいえフォーティテュードはそれを感じさせないやわらかみを感じた。
コンヴィクションの特徴と飲んだ感想
お次はコンヴィクション。
こちらは10年以上熟成したシングルモルト原酒とシングルグレーン原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキー。
それを10年以上の熟成に使用されたフレンチ・リムーザンオークのXOコニャックの古樽で後熟させて仕上げており、より重層的でアロマティックな味わいを楽しめるとのこと。
飲んでみるとブレンデッドということもあり、バランスの良さを感じる。
バーボンの甘み、モルトの苦味や奥深さなどが調和していてまろやかな印象を受ける。
公式の香りの特徴の中にハチミツとあったが、まさしくハチミツの味わいが感じられた。
エンデヴァーの特徴と飲んだ感想
お次はエンデヴァー。
2022年に発売したこちらは大麦麦芽のみを原料に3回蒸留というアイリッシュウイスキーの伝統に沿いながらも精麦時にピート(泥炭)を焚くだけでなく、なんと4種類もの樽(アメリカンオークの新樽、インペリアル・スタウト樽、オロロソシェリー樽、バーボン樽)で原酒を熟成しているとのこと。
飲んでみるとさすがは複数の樽を使っているだけあり、味わいが非常に複雑。
あとは個人的にアイリッシュウイスキーにピートのイメージが無かったので、これだけピート香を感じるのがなかなか新鮮だった。
そしてそれが複雑な味わいとも相まって、なんとも言えない奥深さを演出している。
ジェネシスの特徴と飲んだ感想
最後はいよいよジェネシス。
特徴は先ほどお伝えしているが、補足するとジェネシスはシングルカスク。
1つの樽で熟成されたウイスキー原酒のみを製品化しているため、170本という少なさになった部分もある。
とはいえジェネシスは非常に変化球なので、シングルカスクでも2つの樽を使っていることにはなると思うが。
ともあれその影響もあって他のウイスキーはアルコール度数が46%で統一されているが、ジェネシスだけは49%となっている。
飲んでみると長い熟成を経ているだけあり、まろやかでトゲトゲしさが無い。
コンヴィクションもやわからくはあったがそれとはまた違い、熟成を経たことによる味の定着というかこなれ感がある。
そして苦みや甘味が多重に広がり、口の中で複雑に絡み合う。
アルコールのキツさをそこまで感じることはなく、とても度数が一番高いとは思えなかった。
まとめ
いかがだっただろうか。
イーガンズのアイリッシュウイスキーについてまとめてきた。
1本22万円のジェネシスを実際に口にしてみて感じたのは、時間でしか作り出せない味わいがあるということ。
味わいの複雑さややわらかさの違いは、飲み比べてみると本当に良くわかる。
同じやわらかさ、味わいの複雑さでもランクというかステージが違うように感じた。
とはいえジェネシス以外のウイスキーも高価格帯であり、そんなに気軽に手を出せるものでもないだろうが。
ただ、キミにもぜひ一度はそんな贅沢なウイスキーを試してみてほしい。