ヒーローは戦隊ものやウルトラマンに仮面ライダー、安室奈美恵とかだけではない。
様々な業界に、ヒーローは存在すると思う。
イメージの良くない社会福祉の現場で日々努力する若手を「ヒーロー」と捉え、その活動をプレゼンしてもらう社会福祉 HERO’S TOKYO 2019。
当日その取材に伺ったが、本当に素晴らしいと思った。
今回は「【胸に眠るヒーロー揺り起こせ】「社会福祉ヒーローズ」賞に感激」と題し、「社会福祉ヒーローズ」賞についてまとめていこうと思う。
社会福祉 HERO’S TOKYO 2019 (社会福祉 ヒーローズ トーキョー2019)とは?
世間一般の社会福祉のイメージは「閉鎖的」「暗い」
深刻な人手不足の問題に直面している、社会福祉の分野。
中でも超高齢化社会に進んでいく介護の業界では、2025年には全国で約38万人もの人手不足が見込まれているそうだ。
介護は私やキミはもちろん、多くの人にとって避けては通れない。
親族かもしれないし、自分自身が必要になる可能性もある。
しかし、その現場に対するイメージは決して良くはない。
実際全国社会福祉法人経営者協議会(全国経営協)が、全国1万人を対象に2015年に調査を実施したところ、社会福祉について「閉鎖的」「暗い」といったネガティブイメージがあることが分かったそうだ。
私自身も申し訳ないが、そういったイメージを持っていた。
いや、社会福祉は「クリエイティブで、最先端の仕事」
そこで全国経営協はそういった状況を打破すべく、社会福祉を「クリエイティブで、最先端の仕事」と捉えて誇り持って仕事する若手挑戦者を「ヒーロー」と銘打ち、その活動を表彰する「社会福祉ヒーローズ」賞を2018年に創設した。
これにより、未来の福祉を担う大学生や専門学生に、目標や奮起を与え、「社会福祉」に対する正しい理解を深めてもらいたいとのこと。
2018年は6人に「社会福祉ヒーローズ」賞が授与され、京都府「みねやま福祉会」の櫛田啓(くしだ たすく)さんが、「ベストヒーロー」賞のグランプリを獲得。
櫛田さんは、虐待などの事情により社会的な養育が必要な子どもを支援したり、障がい者施設・特別養護老人ホーム・保育所が同居する「ごちゃまぜの福祉」に施設長として挑戦している点が評価された。
2019年はさらに門戸を広げ、7人の「社会福祉ヒーローズ」が選出され、東京でプレゼンコンテストに参加した。
アンバサダーはモデル・タレントの谷まりあ
イメージ改善のためには賞の創設はもちろん、ビジュアルも重要なところ。
そんなこともあるのか、プレゼンコンテストの当日にはモデルでタレントの谷まりあさんが参加していた。
ファッション誌ViViの専属モデルや、日本テレビ「世界の果てまでイッテQ」を始めとするバラエティ番組や情報番組などテレビでも活躍する人気モデルなので、若者への人気や知名度はバツグン。
そして谷さん自身が昨年までは大学生で、目線が近いのも選出の理由なんだろうと思う。
私は実物を初めて拝見したが、細い。
目鼻立ちがハッキリしてる。
オーラもあった。
アンバサダーの谷まりあが見た社会福祉の現実
アンバサダーを務める谷さんは実際に社会福祉の現場を訪れ、インタビューなどもされている。
https://www.youtube.com/watch?v=UvuW2KyghYI
そんな経験を経て、社会福祉へのイメージがどう変わったのかを色々語ってくれた。
まず、「福祉の現場を訪れて意外だったこと」には「笑顔」と回答。
谷さんも世間一般のイメージと同様に暗いイメージを持っていたそうだが、笑顔が非常に印象的だったとのこと。
そして「誰かに手を差し伸べたり差し伸べられたこと」には「出川哲朗さん」と回答。
「世界の果てまでイッテQ」で共演している出川さんには、色々助けられていると話していた。
そして年末だからだろうか、「社会福祉を漢字一文字で表現」という質問には「人」と回答。
どこまでいっても人との繋がりが重要だと感じたそうだ。
社会福祉ヒーローズ1:山口県防府市 ひとつの会 谷口洋一(たにぐちよういち)
谷口さんはトップバッター。
非常に緊張もあったと思うが、しっかりと勤め上げた。
山口県で介護の仕事に従事する谷口さんは、地元のサッカーチームであるレノファ山口を巻き込み、2018年8月に「レノファ健康元気体操」を考案。
チームの応援ソングに合わせて全身の筋肉を鍛えられるということもあり、介護事業所はもちろん、レノファ山口のホームゲームやお祭りなど、地域全体への布教活動も行っているそうだ。
地域に密着するJリーグを巻き込んだのは、非常に素晴らしい考えだと思う。
説明の必要もないかもしれないが、彼がジャケットの下に来ているのはレノファ山口のユニフォームである。
社会福祉ヒーローズ2:大阪府大阪市 江東会 福島里菜(ふくしまさとな)
福島さんは現場初のアイディアで、保育士の働き方改革を実現した。
「NO残業NO持ち帰り」「有給休暇100%消化」「バースデー休暇制度」などを発案したそうだが、個人的には介護のICT化が素晴らしいと思った。
知り合いに保育士がいるが、令和の時代なのに未だにアナログで、手書きがほとんどと聞いていた。
関東でも関西でもそれは同じらしく、福島さんも実際そういう現場に触れているそうだ。
もちろん意見を聞いてくれるような土台が必要ではあるが、言わなければ始まらないし、それを実現するためにも行動力が必要だと思うと、やはり、素晴らしい。
社会福祉ヒーローズ3:石川県羽咋市 弘和会 宮中経助(みやなかけいすけ)
宮中さんは話し方や声から一番熱意が伝わってきた。
彼の取り組みは、障がい者に農業に携わってもらうというもの。
農業もまた、人手不足に悩む業界の1つと言える。
実際場所はあるのに担い手がいない遊休農地と呼ばれるものを活用しているそうだ。
障がい者の雇用に繋がり、農地も保全できる。
素晴らしい取り組みだと思う。
社会福祉ヒーローズ4:大阪府豊能郡 豊悠福祉会 中嶋ゆい(なかじまゆい)
中嶋さんは、少子高齢化や限界集落の問題を抱える豊能町の“町おこし”のため、なんと住民を巻き込んだファッションショーを企画・開催している。
メインとなるのは特別養護老人ホームの入居者で、中には108歳のモデルもいたそうだ。
2018年には2回開催し、2019年6月にはなんと町で最大規模のホールを会場で330人を動員したとか。
しかし写真を拝見すると、何才だろうが紳士淑女。
特に女性はいくつになっても美しくありたい願望が強いんだろうか、非常に良い表情をされていた。
社会福祉ヒーローズ5:京都府城陽市 南山城学園 佐藤走野(さとうそうや)
佐藤さんは、被災地の避難所などで高齢者や障がい者、乳幼児らを福祉の面から支援する、京都府の災害派遣福祉チーム「DWAT(ディーワット)」の隊員として、熊本地震や岡山県豪雨災害時に現地入りし、避難所環境の整備に取り組んだそうだ。
彼は養護施設育ちだそうだが、こういう現場で一番重要なのは「いかにして自立してもらうか」らしい。
かつて施設の方に「あなたの親にはなれない」というようなことを言われたそうだが、これは突き放しているのではなく、親のようにずっと面倒を見ることはできないということ。
避難所でも佐藤さんのような人がずっといることはできないので、いなくなった後にも自立して生活してもらわないといけない。
個人的に非常に考えさせられた。
社会福祉ヒーローズ6:宮城県仙台市 ウエル千寿会 田中伸弥(たなかのぶや)
田中さんのプレゼンでは、最初に「死について家族と話し合ったことがあるか」という問いかけがあり、ドキッとさせられた。
なぜその問いかけをしたかと言えば、母が突然の末期がん宣告を受け、亡くなったという彼の体験があったから。
葬儀の日にも泣けなかったという田中さんだが、その話をする際には涙で言葉を詰まらせる場面も。
しかし母を良い環境で看取ることができなかったことが、彼を社会福祉の業界へと進ませることになった。
田中さんは老人ホームに駄菓子屋を作ったり、公園を作ったりなど、地域との垣根を取り払う活動をしており、私も素晴らしい取り組みだと思った。
それに、お母さまの話を聞いた時には私もほろりときた。
社会福祉ヒーローズ7:福岡県糟屋郡志免町 柚の木福祉会 藤田智絵(ふじたちえ)
藤田さんは、小学校の中の空き教室を活用し、知的障がいのある方々が働く福祉作業所「ふれあいの部屋」を運営している。
プレゼンの形態としては、彼女のものが一番面白かった。
スライドを使って発表するのだが、おそらく彼女のプレゼン資料はノンストップだったんじゃないかと。
非常に動きがあり、引き込まれる。
しかし流しっぱなしなので、詰まったり言葉が飛んだら一発アウト。
プレッシャーのかかる中、最後までやり遂げた彼女には拍手を送りたい。
取り組み自体も、障がい者と児童が休み時間に本当に楽しそうに遊んでいる様子が伝わるし、藤田さん自身も非常に楽しんでいる様子が伝わってきた。
「社会福祉ヒーローズ」賞のグランプリ「ベストヒーロー」賞に輝いたのは田中伸弥(たなかのぶや)
審査の結果、「社会福祉ヒーローズ」賞のグランプリ「ベストヒーロー」賞に輝いたのは田中伸弥(たなかのぶや)さん。
個人的にも何となく彼が獲るような気はしていた。
駄菓子屋や食堂など、老人と非常に親和性が高く、しかもコミュニケーションが取れるという着眼は目から鱗だった。
谷まりあさんにトロフィーを授与された後は、
谷さんの呼びかけで手を振る場面も。
これからも活躍を期待したい。
まとめ
いかがだっただろうか。
「社会福祉ヒーローズ」賞について、下記のことをまとめてきた。
・社会福祉 HERO’S TOKYO 2019 (社会福祉 ヒーローズ トーキョー2019)とは?
世間一般の社会福祉のイメージは「閉鎖的」「暗い」
いや、社会福祉は「クリエイティブで、最先端の仕事」
・アンバサダーはモデル・タレントの谷まりあ
・アンバサダーの谷まりあが見た社会福祉の現実
・社会福祉ヒーローズ1:山口県防府市 ひとつの会 谷口洋一(たにぐちよういち)
・社会福祉ヒーローズ2:大阪府大阪市 江東会 福島里菜(ふくしまさとな)
・社会福祉ヒーローズ3:石川県羽咋市 弘和会 宮中経助(みやなかけいすけ)
・社会福祉ヒーローズ4:大阪府豊能郡 豊悠福祉会 中嶋ゆい(なかじまゆい)
・社会福祉ヒーローズ5:京都府城陽市 南山城学園 佐藤走野(さとうそうや)
・社会福祉ヒーローズ6:宮城県仙台市 ウエル千寿会 田中伸弥(たなかのぶや)
・社会福祉ヒーローズ7:福岡県糟屋郡志免町 柚の木福祉会 藤田智絵(ふじたちえ)
・「社会福祉ヒーローズ」賞のグランプリ「ベストヒーロー」賞に輝いたのは田中伸弥(たなかのぶや)
非常に重要な仕事なのに、なりての少ない社会福祉の仕事。
しかし私は実際の現場の話を聞いてみて、かなりイメージが変わった。
キミにとってもこの記事が、そのきっかけになったとしたら幸いである。