以前、ドラえもんを例にして交流分析(エゴグラム)という考え方をご紹介した。
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ドラえもんのキャラは5人で1人?交流分析・エゴグラムとの深い関係
日本で育って、ドラえもんを知らない人はおそらくいないと思う。 今更説明の必要がないくらいの国民的アニメである。 その登場人物についても、すぐに頭に浮かぶと思う。 のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ …
カンタンにお伝えすると交流分析というのは、自分の考え方にどのような特徴があるのかを調べることができる、心理学の分析方法のこと。
そして上記の記事では、ドラえもんの主要キャラはそれぞれにわかりやすい特徴を持っているということを解説した。
しかし解説で終わってしまい、結局どのように活用すべきかはあまり書いていなかったため、今回は「人間関係が劇的に変わる!交流分析(エゴグラム)の活用方法まとめ」と題し、知った上でどう活用していくのかをまとめていこうと思う。
交流分析(エゴグラム)のメリット・デメリット
エゴグラムの分析結果は、CP、NP、A、FC、ACという5つの要素で構成される。
ただ血液型のように「CP型」「A型」などにならないというのは以前にまとめたとおりである。
前回の記事でも書いたが、エゴグラムは交流分析をよりわかりやすくした考え方で、基本的にはイコールのものと考えてほしい。
どの値が高いのか低いのか、その特徴を知って活用することで、コミュニケーションは劇的に変わる。
前回の記事でそれぞれの特徴はおおまかにまとめたが、メリットとデメリットまでは解説していなかったので、あらためて解説していこうと思う。
CP(CriticalParent)のメリット・デメリット
■メリット
・責任感が強い
・ルールを守る
・頼りになる
・正義感が強い など
■デメリット
・批判的になりがち
・ルールを強要する
・暴力的になりがち など
NP=NurturingParentのメリット・デメリット
■メリット
・思いやりがある
・受け入れる姿勢が強い
・物事への共感が深い など
■デメリット
・過保護になってしまう
・おせっかい
・深入りしすぎる など
A(Adult)のメリット・デメリット
■メリット
・冷静な判断ができる
・合理的に考えられる
・論理的な話ができる など
■デメリット
・冷たい印象を与える
・融通が利かない
・理屈っぽくなる など
FC(FreeChild)のメリット・デメリット
■メリット
・様々なことに興味を持つ
・創造力豊か
・行動力がある など
■デメリット
・落ち着きがない
・自分勝手でマイペース
・空気が読めない など
AC(AdaptedChild)のメリット・デメリット
■メリット
・我慢強い
・協調性が高い
・礼儀正しく、おくゆかしい
■デメリット
・本当は嫌でも、頼まれると嫌と言えない
・誰かに依存しがち
・言いたいことを言えず、飲み込んでしまう など
理想的なエゴグラムの形は?
ご覧いただいた通り、どの要素にもメリット・デメリットがある。
どれが高ければ良いというのは基本的にはないが、Aを頂点になだらかな山の形をしているのが一応理想的と言われている。
フリーハンドなので汚くて申し訳ないが、図で表すならこんな感じである。
そしてエゴグラムは各要素で20ポイントずつ振り分けられているが、そのポイントはエネルギー量なので、高いに越したことはない。
同じ形でも全体の値が低いなら、それは理想的とは言えない。
ただこれも別に完璧な形ではなく、一番良いのはすべての要素で20ポイントになることである。
まあ、そんな人間はいないと思うが。
というか、交流分析のことを知らずにすべて20になるのはあり得ないと思うし、知っていればいるほどそういう値にはならないだろう。
ストレスは、雨のように上から降り注ぐ
なだらかな山型が理想的と言われるのは、エゴグラムでは「ストレスは、雨のように上から降り注ぐ」と考えられているのも理由の1つだと思う。
エゴグラムの波形は仕事中とプライベートで違うことが多いし、成長や環境の変化によってもフレキシブルに変わっていく。
自分で意識することで値を高くできたり、逆に低くできるのも大きな特徴と言える。
しかし意図せず低くなることもあり、そこで雨の話が出てくる。
例えば、こんな波形があったとする。
NPとFCが高く、CPとAとACは低いというパターンである。
高いNPとFCに挟まれて、Aが谷のようになっているのがわかるだろうか。
ここに対してストレスが雨のように降り注ぐと、Aにストレスが溜まる。
そうするとどうなるのかというと、ストレスでAがだんだん下がってきてしまうのである。
しかも悪いことにストレスでAが下がり始めると、それに引っ張られてNPやFCも下がっていく。
そして全体のエネルギー量が低下していき、それが限度を越えるとうつになってしまう。
なのでそうならないためには、谷ができない波形が望ましい。
ただ自分自身がそういう波形でも、うつにならないのはあくまでも自分だけ。
相手に谷があれば、コミュニケーションのやり方でうつにさせてしまう。
そういうことを考えた時に理想的なのは、Aが頂点のなだらかな山型というわけである。
エゴグラムを活用した、コミュニケーションのコツ
エゴグラムの特徴を知った上で、実際にそれをどうコミュニケーションに活かしていくかだが、基本的には相手が高い要素に関わるような褒め方をしたり、伝え方をしたりというのが有効である。
例えばNPが高い人を褒めるなら優しいところを褒めたり、Aが高い人に指示を出すなら要点先出しで簡潔に伝えたりという具合だ。
相手が低い要素の部分に関わる褒め方をしても全然響かないし、うまく伝わらない。
しかし大体の人は、自分の高い要素を基準にした褒め方や伝え方をするから、人間関係がうまくいかないというのが多い。
ここまで読んだところで、キミも思いあたるケースがあるんじゃないだろうか。
そして、そういうことは相手のストレスにつながってしまう。
知らずに怒らせていたり、イライラさせるようなことがあるなら、そこに原因があるかもしれない。
では、どうやって相手のエゴグラムを知れば良いのか?
一番手っ取り早いのは、対象となる相手にもエゴグラムをやってもらうことである。
エゴグラムの診断自体は大して時間はかからない。
あらためてエゴグラムの診断ができるサイトのリンクを貼っておくので、キミがまだやっていないならとりあえずやってみてほしい。
本当に関係を改善したかったり、必要だと感じるなら勇気を出してエゴグラムをやってもらおう。
それができないなら、普段のコミュニケーションの中でキミが相手の波形を想像していくしか方法はない。
慣れないうちは精度が低いが、続けていけばそれはかなり改善される。
色々な人をそういう観点で見ていくのは面白いし、当たればコミュニケーションの改善には直結する。
プラスのストロークを投げ続けろ!
交流分析の考え方で、「ストローク」というものがある。
相手に対する行為の総称を、交流分析では「ストローク」と表現し、その中でも「プラスのストローク」と「マイナスのストローク」が存在する。
プラスの例としては褒める、抱きしめる。
マイナスの例としては怒る、殴るなどがある。
最悪のマイナスのストロークは自分や相手を殺してしまうことだ。
ストロークは人間関係に必要不可欠なものであり、中でもプラスのストロークを積極的に活用すべきである。
そして人間は誰しもストロークを求めており、それはプラスでもマイナスでも関係無い。
ストロークがもらえないと、「マイナスでも良いからストロークを欲しがる」というくらい必要不可欠なものだ。
好きな女子をいじめてしまう男子やストーカーなんかはその典型だと言える。
しかしどうせなら、プラスのストロークを投げていくべきである。
どんなストロークが有効なのかは人によって違うし、言われる相手によっても違う。
よくストロークは弓矢、相手が喜ぶポイントは的に例えられる。
そしてその的の大きさは人によって、相手によって変わる。
なので万能なストロークはない。とにかく投げるのみ。
ただ面白いのは、一度的に当たると的は大きくなると言われている。
大きくなると的に当たりやすくなり、それが続けば何をしても喜んでもらえるような状況にもなり得る。
ゲームのような感覚でも良いと思うから、それを意識してコミュニケーションを続ければ、人間関係は劇的に変わるはず。
まとめ
いかがだっただろうか?
交流分析におけるそれぞれの要素のメリット・デメリット。
そして、それを基にしたコミュニケーションのやり方について解説してきた。
なにはともあれ、ストロークが重要。
行動を起こさないことには人間関係も変わりようがない。
これはビジネスに限ったことじゃなく、恋愛でも同じように活用できる。
まずは試してみてほしい。