日本で育って、ドラえもんを知らない人はおそらくいないと思う。
今更説明の必要がないくらいの国民的アニメである。
その登場人物についても、すぐに頭に浮かぶと思う。
のび太、しずかちゃん、ジャイアン、スネ夫、出来杉。
そう言えば初代スネ夫の声優を努めた肝付兼太さんは、先日亡くなってしまった。
それより前に亡くなったジャイアン役のたてかべ和也さんも含め、心よりお悔やみ申し上げたい。
話が逸れたが、主要キャラの5人の性格もすぐに思い浮かぶんじゃないだろうか。
しかし実は5人に分かれる必要はまったくなく、そもそも5人ではなく1人。
謎掛けのようだが今回は「ドラえもんのキャラは5人で1人?交流分析・エゴグラムとの深い関係」と題し、5人と交流分析の関係についてまとめていこうと思う。
交流分析とは?
交流分析(TA)は、エリック・バーンが提唱した理論
いきなり書いてしまったが、まずは交流分析について解説していこうと思う。
キミは交流分析という言葉を知っているだろうか?
エリック・バーンという精神科医が1957年に提唱した理論であり、日本に入ってきたのはその10年以上後の1972年頃。
TA(Transactional Analysis)とも呼ばれ、コミュニケーションを円滑に進めるために有効なものとして考えられている。
交流分析の考え方
交流分析は幼いころの経験から、
P=Parent
A=Adult
C=Child
の3つの自我状態が形成されるという仮定が基本になっている。
その中でもPは下記の2つに分類され、
CP=CriticalParent
NP=NurturingParent
Cも2つに分類される。
FC=FreeChild
AC=AdaptedChild
交流分析はこのCP、NP、A、FC、ACという5つを基準にした考え方である。
交流分析、それぞれの特徴
これら5パターンは、カンタンに言えば下記のような特徴がある。
CP=ルールや常識にうるさく、威圧的な心
NP=すべてを包み込み、無償の愛を提供する心
A=論理的で計算高い心
FC=好奇心旺盛で明るさに満ちた心
AC=素直で、どんなことにも従順に従う心
特徴はわかりやすく書いたが、それぞれに長所も短所もある。
例えばCPであればルールや常識にうるさいというのは短所だろうが、それらをしっかり守るし、引っ張っていってくれる強さが長所として挙げられる。
エゴグラムとは?
そしてエゴグラムは、エリック・バーンの弟子であるジョン・M・デュセイという人が考案した性格診断方法。
交流分析の時点では漠然としていたものを数値として算出できるようにし、それをグラフ化することでより視覚的にわかりやすくしたもの。
それぞれの要素に関連する質問に回答することで、1~20で数値を算出できる。
なのでエゴグラムと交流分析はほぼ同義であり、エゴグラムは交流分析をわかりやすくするためのものという考え方でOK。
ちなみに何年か前にディグラム診断というものが流行ったが、これは交流分析を参考にしている。
それをわかりやすく恋愛に落とし込んだだけで、根本の部分はまったく変わらない。
交流分析が他の性格診断とは一線を画する部分
個人的に交流分析が非常に面白いと思うのは、この5つに分類するわけではないというところ。
血液型のようにCP型、AC型などとくくるのではなく、どこの要素がその人の中で強いか弱いかを知って、コミュニケーションに活かしていくという考え方である。
しかも、それが低かったり高すぎることを問題にはしていない。
ただ、数値は高いに越したことはない。
さらに面白いのは、ビジネスとプライベートでは数値が変わること。
これは実際に診断してみるとわかるかもしれない。
このサイトで診断ができるので、ぜひ一度やってみてほしい。
ちなみに私はNPとFCが比較的高い。
そして、交流分析を提唱したエリック・バーンは、「人生を楽しむためにはFCが高いほうが良い」というようなことを述べている。
手前味噌だが、そういう意味でDSRはFCを高めるためには最適のサイトだと自負している。
交流分析とドラえもん
ドラえもんの主要キャラと、交流分析の要素
では、本題に入ろう。
ただ、ここまで読めばある程度の想像はできるんじゃないだろうか。
つまりドラえもんの主要キャラである5人は、それぞれ交流分析のどれかの要素を表しているというのが私の考えである。
出来杉くんは正直マンガではほとんど出てこないが、アニメでは登場回数が多いし目立っているので、十分に主要キャラとして捉えられると思う。
さらに言えば出来杉くんが出てくることが、国民的アニメに押し上げた要因の1つともいえるかもしれない。
ちなみに具体的には下記のように考えられる。
CP=ジャイアン
NP=しずかちゃん
A=出来杉
FC=スネ夫
AC=のび太
しいて言うなら、ドラえもんはNPだろうか。
キャラの顔はもちろん、おそらく性格も思い浮かんでいるはずなので、先ほどお伝えした交流分析のそれぞれの特徴と照らし合わせればピンとくると思う。
CP=ジャイアン
ジャイアンなんかは本当にわかりやすい。
CPの特徴は「ルールや常識にうるさく、威圧的な心」。
ルールを守るというか、彼自身がルールになっている気がしないでもないが、威圧的なんかはピンとくるんじゃないかと。
CPはわかりやすく言えば、ちゃぶ台をひっくり返すような昔の頑固おやじ。
自分がルールであり、横暴ではあるが頼りになる。
NP=しずかちゃん
NPの特徴は「すべてを包み込み、無償の愛を提供する心」。
そしてNPはつまり、母親のような心のこと。
唯一の女性であるしずかちゃんにはふさわしい。
のび太がどんなにダメでも見捨てることはないし、大抵のことは広い心で受け止めてくれる。
何度のび太が風呂を覗いても関係は続いているから、本当に寛大で母親のようである。
A=出来杉
Aは「論理的で計算高い心」。
出来杉の性格はそこまで思い出せなくても、すごく勉強ができて物知りというのはピンとくるだろう。
そしてその知識から様々な方法や考えを論理的に導き出せるから、まさしくAの象徴と言っても過言ではない。
冷たいわけではないが、あまり感情を表に出すような場面も多くないと思う。
FC=スネ夫
FCは「好奇心旺盛で明るさに満ちた心」。
パパのおかげとはいえ新しいおもちゃをバンバン持ってきたり、海外旅行やお出かけをしまくっているスネ夫はFCの象徴と言える。
少しACもあるが、基本的にはFCだと思う。
AC=のび太
ACは「素直で、どんなことにも従順に従う心」。
スネ夫が持ってくるおもちゃをとりあえず欲しいと思ってしまう。
ジャイアンやスネ夫の言うことに逆らえないし、おもちゃもすぐに取り上げられる。
おもちゃを壊されたりいじめられてもジャイアンにはなにも言えず、ドラえもんにグチるのはいつものパターン。
しかし言われたことを素直に実行できたり、行動に迷いがないのは素晴らしい才能だと思う。
じゃあ、ドラえもんの登場人物は1人で良かったのか?
交流分析は5つの要素の中で自分自身はどれが高くて低いのかを知ることができ、それを考慮することでコミュニケーションを円滑に進められる。
すでにお伝えしたとおりFCが高いから良い、CPが低いから悪いなどと考えるのではなく、どの要素にも良いところがあり、悪いところがある。
自分に必要な部分を高くする努力は必要だが、低いからと言ってダメなわけではないし、努力次第で高くすることはできる。
そして、私やキミだけでなく、大体の人はどれかが高かったり低かったりする。
1人のキャラに置き換えるなら、例えばNPとFCが突出して高ければその性格を出すのはカンタンだが、そうではないCPとAとACはどうしても出しにくい。
そして、見る人が同じくNPやFCが高い人なら良いが、そうでなければ全然ピンと来ない。
では、どうすれば良いのか?
CPやAやACは、別のキャラを使って表現すれば良い。
どのみち1人のキャラでできることはたかが知れているし、性格うんぬんの前に登場キャラが少ないと変化に乏しく、すぐに飽きられる可能性がある。
他の要素をわかりやすく強調できるキャラを作れば、共感する人はより多くなるし、登場キャラが多くなることで物語の広がりや深みが生まれる。
出来杉くんの存在がなければAの客層は取り込めなかったし、見ていて違和感を覚えることも多かったと思う。
そういう意味でドラえもんはアニメのほうが多くの人に受け入れられているし、記憶に残っているはず。
ただもちろん、そういうキャラを生み出した藤子・F・藤雄先生あってこそではあるが。
まとめ
いかがだっただろうか?
交流分析の意味、そして、ドラえもんの主要キャラが5人であることの意味をまとめてきた。
具体的には、交流分析は下記の5つの要素からなり、
CP=ルールや常識にうるさく、威圧的な心
NP=すべてを包み込み、無償の愛を提供する心
A=論理的で計算高い心
FC=好奇心旺盛で明るさに満ちた心
AC=素直で、どんなことにも従順に従う心
ドラえもんで言えば、
CP=ジャイアン
NP=しずかちゃん
A=出来杉
FC=スネ夫
AC=のび太
だと思う。
自分の性格を見返すときにも、こういう風に頭に入っていればきっとわかりやすいはず。
エゴグラムを知った上で、実際にどう活用していくべきかはこちらの記事にまとめている。
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