年齢を重ねても魅力的な男性であり続ける。
これは、多くの男にとって永遠のテーマと言えるだろう。
それだけに、メンズスキンケアにおけるアンチエイジングに興味を持っている人も多いはずだ。
しかし、メンズスキンケアのやり方について触れる前に、そもそも「男にとってのアンチエイジング」について確認しておきたい。
男のアンチエイジングとはなんぞや?
もともとアンチエイジングは、女性のスキンケアの分野で注目されていたものだ。
女性が考えるアイシングケアと、男性が理想とするエイジングケアとの間には、いろいろな面で違いがあるはずだ。
スキンケア全体でももちろん違いはあるが、アンチエイジングとなると、その落差が広がる傾向が見られる。
女性にとってのアンチエイジングとは、とにかく「若々しさを保つ」ことにある。
いわゆる「美魔女」に代表されるように、40代になっても20代のような若さを目指している女性は数多い。
具体的に言えば、若い頃のようなハリと潤いのある肌、なめらかですべすべな手触り、そしてシワやシミのない透明感のある状態…これらが女性にとってのアンチエイジンクの理想像と言っても問題はないだろう。
しかし、男性にとってのアンチエイジングはどうだろうか?
30代後半、40代になって、20代のようなツルツル・スベスベな肌を維持することが理想のアンチエイジングだろうか?
もちろん、きれいな肌を維持することは重要なことだが、それだけを求めてしまうと、見当違いなスキンケアになってしまいかねない。
例えば、女性のアンチエイジングにとって最大のテーマとも言える、シワはどうだろうか?男性の場合、シワはかえって年輪を感じさせる渋い魅力をもたらし、男としての風格を感じさせる面もある。
シワを増やさない、目立たせないケアはよいかもしれないが、シワを無理の隠そうとするようなスキンケアは、男性にとって理想的なアンチエイジングにならない可能性がある。
男性にとって、「見た目が若い」と「若々しい」はしばしば異なる。
30代、40代、50代だからこその男としての魅力を醸し出しつつ、若々しい印象を与えられる外見を手に入れる。
これがメンズスキンケアにおける究極のアンチエイジングと言えるのではないだろうか?男性がアンチエイジングを目指す際にはこの点に留意しておきたい。
まずは皮脂をしっかり取り除く!メンズのアンチエイジングの鉄則!
では、どんなやり方があるのか?
まず基本中の基本、大前提となるのが皮脂をしっかり取り除くことだ。
もともと男性は女性に比べて皮脂の分泌量が多く、肌が脂っぽくなりやすいと言われる。
いわゆる「脂ぎったおじさん」にならないためにも、余分な皮脂をしっかり除去できるスキンケア環境を整えよう。
特に難しいことはない。
毎日しっかりと洗顔を行い、余分な皮脂を除去しよう。
これはアンチエイジングというよりもメンズスキンケアの基本中の基本だが、加齢に伴って皮脂の分泌量が多くなるケースもあるので、年齢と肌の状態に合わせて洗顔のやり方も調節していく必要もある。
いつもと同じ洗顔をしているのに、どうも肌が脂っぽくなっているような気がしたら要注意。
より洗浄力に優れた洗顔料を使用する、あるいはもっとよく泡立ててから洗顔をするなど、洗顔環境を見直そう。
なお、皮脂の分泌量が多くて、しっかりと洗顔しているにもかかわらず脂っぽくなってしまう人は、ビタミンC誘導体やグリチルリチン酸など、皮脂分泌を抑制する働きを持った成分を配合した化粧水や美容液の利用も検討してみるとよいだろう。
余分な皮脂はニキビの原因にもなる。
思春期のニキビと比べて大人のニキビは治りにくいので、その予防も意味も込めて、皮脂対策はしっかりと行っておきたい。
また、これはスキンケアというよりも頭皮ケアになるが、頭皮の皮脂の過剰な分泌がフケや臭いの原因になることもある。
皮脂分泌が多い男性は、こちらのケアもアンチエイジングの一環として検討してみるとよいかもしれない。
シミ対策のスキンケアを始める
男性の肌の悩みの筆頭に挙げられるのがシミだ。
特に30代後半や40代前半頃から、顔から首にかけてシミができやすくなる。紫外線をはじめとした肌への刺激が蓄積して、ダメージとなって生じるものだ。
顔のあちこちにシミができてしまうと、いかにも歳をとった印象になってしまうし、若い世代との差が鮮明になってしまう。
肌の美しさを保つという観点からも、もっとも厄介な問題と言える。
このシミ対策をどれだけうまくできるかが、メンズのアンチエイジングの最大のテーマと言ってよいかもしれない。
オススメのやり方は「ひとつの方法に絞らない」ことだ。
加齢が原因でシミができやすくなるわけだから、後述する美白化粧品でケアするだけでは十分な効果が期待できない恐れがある。
シミを作ってしまうような肌の状態の改善も併せて行っていきたい。
まず問題となるのが、加齢による肌のバリア機能と新陳代謝の低下だ。
若い頃は日焼けをしても、シミもできずに元の状態に戻ったのに、年齢を重ねるとなかなか肌が元に戻らず、さらにはあちこちにシミができてしまうものだ。
それは、バリア機能が低下して紫外線のダメージを受けやすくなっている他、新陳代謝の低下で新しい皮膚ができにくいのが大きな原因だ。
シミにしろ、日焼けにしろ、肌が刺激を受けた時に保護するために生成される、茶褐色をしたメラニン色素が原因だ。
新陳代謝が活発なら、古い皮膚と新しい皮膚が入れ替わる過程でメラニン色素も排出されるのだが、加齢で新陳代謝が衰えてしまうと、生成されたメラニン色素がうまく排出されずに肌に沈着を起こして、そのままシミになってしまうのだ。
だから、衰えた肌が若返るスキンケアをしてみよう。
肌の老化の進行を遅らせる作用を持った抗酸化作用や、肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促す作用を持った成分の配合された化粧品を使用するのがもっとも簡単な方法だ。
抗酸化成分では、ビタミンEやCねコエンザイムQ10、ポリフェノールなどが代表格として知られている。
ターンオーバーを活性化させる成分では、セラミドやプラセンタなどが挙げられるだろう。
その上でシミそのものを防ぎ、改善する効果が期待できる美白化粧品を使ってみよう。
先述したメラニン色素の生成をブロックする効果を備えた美白成分配合の化粧品がオススメだ。
代表的な美白成分では、アルブチンやトラネキサム酸などがある。
注意したいのは、こうした美白化粧品は効果が高いものほど、肌への刺激が強い傾向がある点だ。
成分の種類だけでなく、美白成分の濃度などもチェックした上で判断したい。
もうひとつ、シミ対策に有効なスキンケアとして、ピーリング化粧品も挙げておきたい。
「ピーリング(peeling)」とは「皮をはがす」といった意味がある言葉だが、このピーリング化粧品には特殊な成分が配合されており、意図的に皮膚の表面を剥がす効果を備えている。
このピーリング効果によって、新陳代謝の低下で剥がれ落ちずに蓄積してしまった古い皮膚(角質)を取り除き、その刺激によって新しい肌の再生を促す効果が期待できる。
つまり、シミの原因となるメラニン色素も除去できる他、加齢がもたらす新陳代謝の低下の改善効果も得られることになる。
まさに一石二鳥のアンチエイジングだが、注意しておきたい点もある。
意図的に肌に強い刺激をもたらして皮膚をはがし、新陳代謝を促す効果を持っているため、使いすぎると刺激が肌に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあることだ。
毎日使うものではなく、定期的に使用しながら肌を活性化させるのが正しい使い方だ。
ピーリング化粧品を使う際には、必ず正しい用法・用量を踏まえた上で正しく活用していきたい。
シワ対策はどうするか?
先程触れたように、男性にとってシワは決して恥ずべきものではない。
しかし、シワはできる場所や状態によって、見る者に与える印象が大きく異なってくる。
例えば、目尻のシワは思慮深さや穏やかさを強調する面がある一方、目元のたるみと一緒にできると老けた印象だけでなく、疲れた印象まで与えてしまいかねない。
また、口元、一般にほうれい線と呼ばれる部分のシワも、深くなればなるほど年老いた印象になってしまう。
だから、メンズのアンチエイジングではシワをすべて防ぐ、目立たなくするのではなく、いかにも「衰えた印象」を与えない範囲でケアしていくことが求められるだろう。
その意味では女性のシワ対策よりもやりやすく、効果が得られやすいと言えるだろう。
このシワ対策においても、先述した肌のターンオーバーを保つケアが重視される。
皮膚のハリが加齢とともに失われていくと、肌を支えるのが難しくなり、重力に負ける形でたるみが生じ、その部分にシワができてしまうのだ。
それだけに、ターンオーバーでハリのある肌を作る環境を整えることが重要だ。
その鍵を握るのが、コラーゲンとヒアルロン酸だ。
コラーゲンは皮膚の原材料とも言える成分、ヒアルロン酸は皮膚の内部(角質層)で水分を保つ役割を担っている成分だ。
いずれも加齢とともに減少してしまい、それがシワ・たるみの原因を引き起こす。
だから、不足してしまう分を外から補っていくことで老化の進行を防ぐわけだ。
スキンケア製品で外から補うだけでなく、食事やサプリメントで体の内部から補うのも良い方法だ。
もちろん、食事・サプリメントで摂取したコラーゲン・サプリメントがすべてアンチエイジングに役立つわけではないが、この2つの成分は肌だけでなく、体全体の健康にも重要な役割を担っているので、広い意味でのアンチエイジングにも役立つ。
なお、コラーゲンやヒアルロン酸は豚足や軟骨、手羽先といった肉類に多く含まれている他、すっぽんやうなぎ、カレイ、エビ、なまこなどでも摂取できる。
スキンケアとセットでうまく採り入れていきたい。
なお、2016年に厚生労働省が「シワを改善する効果がある成分」の認定を行うようになり、それを満たした医薬部外品も発売されている。
シワが気になる人は、こうした厚生労働省の「お墨付き」を得たスキンケア製品を試してみるのもよいだろう。
あとは、これも鉄則中の鉄則、肌の老化の原因となる紫外線を防ぐためのケアも忘れないようにしよう。